×
メモ

Amazonの批判と称賛が入り乱れる職場環境とは?

By sⓘndy°

Amazonは2015年第2四半期の決算で市場価値が2500億ドル(約31兆円)を突破し、世界最大の小売店であるウォルマートを創業以来初めて上回りました。誰しもが聞いたことがあるほど世界的に知名度があるAmazonですが、Amazonにおける労働環境は従業員が結ぶ秘密保持契約によって多くが謎に包まれています。そんなAmazonの知られざる労働環境をアメリカのThe New York Timesが明らかにすべく、元社員および現社員にインタビューを実施し、その全貌が少しだけ明らかになっています。

Inside Amazon: Wrestling Big Ideas in a Bruising Workplace - The New York Times
http://www.nytimes.com/2015/08/16/technology/inside-amazon-wrestling-big-ideas-in-a-bruising-workplace.html

Amazonは企業文化として社員1人1人がリーダーであるという「リーダーシップ理念」というのを掲げており、採用サイトでも公開されています。リーダーシップ理念には全部で14の信条があり、これに基づいてAmazonの社員の行動理念や会社の規則が作られているそうです。このリーダーシップ理念が根底にあるからこそ、商品を素早く配達し、競合各社が展開していない新しいビジネスやサービスを手がけ、発生するいかなる問題をも解決し、オンラインショッピングサービスの頂点に立っているというわけです。


しかしながら、Amazonを支えるリーダーシップ理念が、社員の労働環境に悪影響を与える側面を持つことが元社員のインタビューで明らかになっています。例えば、14の信条の1つには「倹約」というものがあります。倹約の概要は「私たちは、お客様にとって重要でないことには、あえてお金を使わないようにします。倹約の精神は、リソースを効果的に活用するための創意工夫、自立心、更に、発明を育てる源となります。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいものではありません」とされており、倹約することでユーザーから信頼を獲得し維持していくことに集中できるそうです。

ただし、倹約の理念のためにAmazonの社員は出張交通費を自分で払い、毎日作業をこなすデスクや携帯電話は必要最低限のものしか支給されていないとのこと。別の「意見を異にできる気骨があり、しかし決めたらコミットする」という理念は、「賛成できない場合には、敬意をもって異議を唱えて、決定がなされたら全面的にコミットして取り組む」という意味がありますが、自分のアイデアが同僚の攻撃対象になり、フィードバックでさんざんに書かれることがあるそうです。

By Leonid Mamchenkov

「同僚に対しても厳しい姿勢で批判することもある職場環境は、特に人間関係を重んじる女性社員にとってつらいものがある」とThe New York Timesのインタビューで語ったのは、Amazonに勤めていた女性。Amazonは女性の職場環境に関しても他のIT企業に比べて問題を抱えており、41歳で3人の子供を持ちAmazonで働いたことがあるMichelle Williamsonさんの場合、上司から「時間をとられる子育ては、あなたに成功をもたらしません。現に、他の若い社員よりも結果がでていない。もう少し楽な部署に移ったらどうですか?」と忠告を受けたことがあります。なお、Williamsonさんに忠告した上司は、1週間に85時間以上働き、休暇を申請したことがほとんどなかったそうです。

また、Amazon在職中に乳がんを患ったある女性は「私生活での問題により目標達成が困難である」とみなされ、「Performannce Improvement Plan」という再教育プログラムを受けさせられました。ガンを治療する期間を与えられずに再教育プログラムを受けるはめになったこの女性は「とても厳しい判断だった」と感じたそうです。

Amazonの厳しい企業理念が作る職場環境が合わない人がいるのは至極当然のことで、書籍マーケティング部門で2年間働いたことがあるというBo Olsonさんは「私は、一緒に仕事をした同僚の多くが机の上で泣いているのを見たことがあります」と語り、Amazonの元役員であるJohn Rossman氏は「多くの社員が『働くのには最悪な素晴らしい場所』と感じている」と職場環境を形容しています。

By lehman_11

ただし、Amazonの職場環境を劣悪と感じる人がいれば、そうでない人もいます。Amazonで事業本部長を務め、有料会員サービスAmazon Primeのサービスの1つであるPrime Nowの立ち上げに関わったStephenie Landryさんは「ニューヨーク中で探しても見つからなかった人形をAmazonで注文するとたった23分で自宅に届いた」というカスタマーフィードバックを引き合いに出し、「今の話が可能になったのはリーダーシップ理念を忠実に守ったからです。我々は、お客様が喜ぶ瞬間のために全力をつくして問題解決に取り組みます」と語っており、厳しいリーダーシップ理念こそがAmazonを支えているのが理解できます。

一方で「The New York TimesによるAmazon元社員に対するインタビューには正確でないことが多々ある」と反論するブロガーもいます。The New York Timesの記事に反対しているのは、AmazonのAWS(Amazon Web Services)で働いている社員と名乗るTim Brayさんで、「同じ職場で泣いている人を見たことがなく、出張交通費は自腹ではないし、過度な残業もない」とし「Amazonの職場環境は自分にとって問題ない」と主張しており、Amazonの労働環境に関する意見は称賛と批判が入り交じっています。

・関連記事
Amazonが倉庫ロボット1万5000台を導入し最大1000億円の人件費削減へ - GIGAZINE

Amazon倉庫で身分を隠して働いた記者が語る「過酷な労働環境」とは? - GIGAZINE

Amazonで買い物した合計金額を調べる方法を試して知る衝撃の事実 - GIGAZINE

Amazonサービスの作業者が「私たちはアルゴリズムじゃない」とベゾス氏へのオープンレターを公開 - GIGAZINE

Amazonが1995年からどのようにして利益をあげてきたかわかるグラフ - GIGAZINE

Amazonの倉庫で働くときの知られざるルール10か条 - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log