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メモ

インターネット生まれの音楽「ヴェイパーウェイヴ」はフロッピーディスクで販売されている


2010年頃にインターネットの音楽コミュニティ上で誕生したとされている音楽ジャンルが「ヴェイパーウェイヴ」ですが、これがなぜか今になって3.5インチフロッピーディスク(FD)に保存された状態で販売されるようになっています。

Revolution at 3.5″: Inside Vaporwave’s Mini-Boom of Floppy Disk Releases – Rolling Stone
https://www.rollingstone.com/music/music-features/vaporwave-floppy-disk-trend-666085/

あのデヴィッド・ボウイ氏の専属ドラマーとして活躍したスターリン・キャンベル氏は、カナダ・オタワにカセットテープおよびVHSテープのレーベルを立ち上げました。しかし、娘とより長い時間を過ごしたいと考えたキャンベル氏はオンタリオ州のコーンウォールに帰ることを決意。そして、コーンウォールで音楽活動を続けるためにも、新しいクリエイティブな何かを始める必要性を感じていたそうです。

キャンベル氏は「ここで自分のためにも何かを始める必要がある。いま私にできることの中で最も馬鹿げたことは何だろう?」と考え思いついたのが、3.5インチFDにヴェイパーウェイヴの音楽を録音して販売するという世界初のレーベル「Strudelsoft」を立ち上げることだったそうです。ヴェイパーウェイヴというのは既存の曲をゆっくりと再生したり、リミックスしたりすることで、より感傷的に聴こえるように手を加えたもの。

なぜヴェイパーウェイヴをFDに保存して販売し始めたのか明確な理由は不明ですが、すでに音源をCDでリリースするのが主流になっていた1990年代中頃、ソニーの「Music Screeners」のようなボーナスコンテンツや、アーティストのスクリーンセーバーやミュージックビデオが3.5インチFDで提供されるなど、FDが一時的に流行したことがあったそうです。また、「New Blockaders」「GX Jupitter-Larsen」「マウリツィオ・ビアンキ」といった、1980年代のカセットテープのパイオニアたちがFDで音楽をリリースしていたという経緯もあります。1980年代を強くオマージュするヴェイパーウェイヴだからこそ、今では使われなくなってしまった3.5インチFDに保存することがしっくりきたということなのかもしれません。


「FDはカセットよりも安く、多くの色が利用できるので魅力的に見え、デザインもクールだ」と語るのは、ヴェイパーウェイヴを販売するレーベルのひとつであるPower Lunchを運営するマシュー・アイソム氏。アイソム氏によると、FDはカセットよりも海外に出荷する際の費用が安く済むという点でも優れているとのこと。

なお、「FDに録音されたヴェイパーウェイヴ」として最初に世に出たのは、2012年にリリースされたMiami Viceの「Culture Island」であると考えられています。

Culture Islandは以下から視聴できます。

CULTURE ISLAND | Miami Vice


キャンベル氏が初めてStrudelsoftでリリースした「3.5インチFDに録音されたヴェイパーウェイヴ」は、「猫 シ Corp」と呼ばれるアーティストの曲でした。11分38秒の8ビットオーディオのMP3データを3.5インチFDに保存して販売したそうです。なお、3.5インチFDはなんと発売からわずか8秒で完売してしまったとのこと。

猫 シ Corpの曲は以下から試聴できます。

Music | 猫 シ Corp.


キャンベル氏は最初にStrudelsoftで販売した3.5インチFDをeBayで調達したそうですが、それが高価であることを知ると、すぐさま製造業者に電話をかけて「使っていない3.5インチFDが地下室に400~500枚は眠っている」という人物を探し出します。この3.5インチFDの中には家族写真のデータやトロイの木馬ウイルスなどが見つかったそうですが、これをそのままヴェイパーウェイヴを保存するための媒体として使用している模様。


「FDはノスタルジーファクターを超えて、自然とヴェイパーウェイヴとフィットしました。ヴェイパーウェイヴの音楽は、FDのような小さな空間に保存される前から、いわゆるLo-Fiなものです」と、アメリカのカルチャーメディア・Rolling Stoneは記しています。「FDは1枚あたり1.44MBのデータが格納できます。よって、FD1枚だと3曲ほどしか保存できませんでした。曲は地獄のような場所(FD)に圧縮されているわけですが、それでも聴くことができます。私は一度FDから曲を聴いたことがあるのですが、それ以降不満を言うことはできなくなりました。なぜなら十分にいい音がするからです」と語るのは、Sea of CloudsのMaftei氏。

なお、ヴェイパーウェイヴの愛好家たちは物理媒体に保存された音楽を好むそうで、「Facebook上にあるヴェイパーウェイヴ愛好家たちの集まり『Vaporwave Cassette Club』では、何千ドルもの価値があるヴェイパーウェイヴの音声データをデジタル上で公開している人もいます。正直これはおかしなことだよ」とキャンベル氏は語っています。

・おまけ
ヴェイパーウェイヴといえば、2018年6月14日に配信開始となったスプラトゥーン2初のDLC「オクト・エキスパンション」が、ヴェイパーウェイヴをオマージュしたものなのではと一部で話題になりました。

スプラトゥーン2のDLC『オクト・エキスパンション』とはどのような物語であったのか - Togetter
https://togetter.com/li/1239491

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in メモ, Posted by logu_ii