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サイエンス

山火事で発生した大量の煙が気温や水温を低下させ生態系に影響を与えている

by Joanne Francis

アメリカ・カリフォルニア州クラマス川流域で行われた最新の調査で、火災によって発生した煙には日射量を低下させ、大気を冷やす効果があることが明らかになっています。この調査を報告した論文では、山火事などにより発生した大量の煙が夏の川の水温を冷却し、水生生物に大きな利益をもたらしている可能性が示唆されています。

Wildfire smoke cools summer river and stream water temperatures
https://www.fs.fed.us/psw/pubs/57160

Smoke from wildfires has cooling effect on water temperatures
https://www.fs.fed.us/psw/news/2018/20181009_wildfiresmoke.shtml

アメリカの先住民族やクラマス川の水温を調査している団体は、山火事などが発生する時期に河川の水温が低下することに気づいていたそうですが、発表されたばかりの調査結果はこの知見を長期的なデータで統計的に証明した最初の研究となります。研究ではNASAの衛星写真から得られた大気を覆う煙のデータと、クラマス川流域の観測点で採取された水の温度を分析することで、山火事により発生した煙が川の水温を下げていることを証明。データは2006年、2008年、2012~2015年の6年間で発生した山火事に関するものが含まれており、火事による煙が日光を遮ることで大気温度は平均0.47~0.98度低下し、水温は平均で0.74~1.32度も低下したそうです。


論文の共同著者の一人であり、Pacific Southwest Research Stationの研究者のひとりでもあるフランク・レイク氏は、近年の山火事の発生パターンは過去のものとは大きく異なっていると指摘。「現代においても、鎮火よりも早く山火事がアメリカ西部の多くの地域に猛烈に広まっていきます。そして、それらの山火事により発生した煙が、夏の暑い時期に自然と水温を下げる役割を担っています」と語っています。

また、山火事はとりわけ暑くて乾燥する夏の時期に発生しやすいため、水生生物が煙による冷却効果の恩恵を受ける可能性を指摘しています。

by Dominik Lange

カリフォルニア州で暮らすインディアン部族のひとつである「カルク族」による自然資源保護プロジェクトKaruk Department of Natural Resourcesでディレクターを務めるビル・トリップ氏は、「この研究が取り上げた生態学的プロセスは決して新しいものではありません。実際、カルク族では『サーモンを呼ぶ』目的で行う儀式の中で、伝統的に山火事を起こしてきました」とコメント。

カルク族のサーモンを呼ぶ儀式は、「山火事が水温を低下させる」という研究結果から見ると、サーモンを呼び寄せるのに効果的な方法だそうです。

by Drew Farwell

Six Rivers National Forestの魚類学者であるレロイ・シール氏は、この研究が長期的な共同作業の成果であるとしており、「20年以上前にクラマス川下流の多数の地点で共同的な河川温度監視を始めたのですが、その調査の答えが今回出たというわけです。データから、火災で発生する煙の冷却効果と、それにより夏の厳しい時期にサーモンがより生存しやすくなる効果が明らかになりました」と述べています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by logu_ii